テイクアウトで一挙両得、個店を応援＆献立の悩み解決朝日ファミリーデジタル

「人と人が響き合うまちづくりの応援」がモットーの当媒体。営業自粛を受け、思い悩む店とそこに生活する人を結びつけるために、今何ができるのか？と取材を始めた。自衛策としてテイクアウトを始めた飲食店に聞き、商店街を歩いた結果、いつもと違うを楽しむ気持ちもありだ！と提案したい。

在宅ワークや学校の休みで、普段よりも食事の用意に頭を悩ませている人も多いのではないか。スーパーの惣菜もいいけれど、リフレッシュも兼ねて「普段食べられない、うまいものを食べる」のはどうだろう。

元気な商店街として全国的に有名な大阪市中央区谷町にある「空堀商店街」も、自粛営業の影響はある。

しかし、そこは生き残りで創意工夫をしてきた街。それぞれにできることから即実行していた。

「近隣配達」なら、高齢者や子供のいる家では大助かり。普段よりも多い買い物の荷物で困った人も利用価値あり。

オープンしている店では、声がけはいつもよりさらに元気だ。「今日は何にしましょう」「お芋は手剥きしたのがありますよ。大きいのと小さいの、どっちにしましょう」。そんなら、お芋も買っとこうかなと。

「おおきに～」という声に見送られれば、在宅ワークで鬱々としていた気持ちもリフレッシュできる。

一方、とことん困っているのが「バー」と分類されたお店。夜の営業がなければ稼げない。

インスタグラムの投稿をみて、訪ねたのはフランス家庭料理とお酒が楽しめる店「CAFE&BAR14」。

マスターは飄々（ひょうひょう）と「前から常連さんに頼まれればテイクアウトも作っていたので、そんなに準備するって感じではなく、この事態だから看板に書いて、インスタにあげてみたぐらいですよ」

というが、しかし、お客さんは当然のことながら激減している。店で出している食べ物は、すべてテイクアウトＯＫにした。

家でゆっくりワインが楽しめる、テリーヌをメインにした盛り合わせ「前菜セット」800円も用意。あまり宣伝はしていないから、常連さんぐらいしか買いに来ないかなーと思っていたが

「今日、初めての方が1人いらしてくれましたね」とふわりと笑う。

家計を担う主婦からすれば「前菜セット800円」は高いかもしれない。でも、今までより多い人数の食事を、3食とも考えるのに疲れたら、1食ぐらい、いつもは食べられない店の料理を取り入れるのもよいのではないか。店は助かる、主婦業もちょっとひと休みできる。

商店街の買い物で、我が家の夕食は豪勢になった。朝はパンを囓り、ランチはカップ麺だったので、収支も栄養もバランスはとれているハズだ。

もう一軒、料理をつくるのが大好きな店主の「酒と魚たにろくクッチョロ」を訪問してみた。

クッチョロの店内に入ると、テイクアウトの出来上がりを待つ常連さんが店内のそこかしこに。「本当は休みにするのが正解と思っていました。でも、料理を作ることが大好きで、それで始めた店。あー、すっきりしないなぁというジレンマもあった」と店主の阿形さん。

営業自粛を伝えると「えっ、この料理が食べられなくなるの。困るなぁ～。じゃあ、テイクアウトを作ってくれない？」と常連さんから提案があった。たまたま、カウンターで待っていたのが言い出しっぺの女性。

「全部手作りでおいしくて、私は本当によく利用しているから〝これとこれとこんな感じで詰めて欲しいな〟と気持ちを伝えました。手間がかかっているから料金はお任せで」

で、本日のセットはこんな感じだ。

4月14日からの休業要請を前にして（取材は4月11日）、常連さんは生ビールを飲みつつ待つ。ふと見上げると、壁には多くの人が集っている写真が並ぶ。

いつまで続くかわからない。けれど、CAFE&BAR14の店主の言葉を借りるなら「明けない夜はないよね？」。

そう、止まぬ雨もなければ、明けぬ夜もない。もう少しみんなで出来ることを続けていけば、いつもの街の風景が戻る。それまではお互いの知恵と協力で乗り越えよう。（丸）

■CAFE&BAR14
大阪市中央区谷町7-1-49 豊冨ビル2F
070-2297-4913
12:00−14:00、 18:30-24:00 、火曜定休

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■酒と魚たにろくクッチョロ
大阪市中央区上本町西2-6-23
06-7505-8415
月・火・木～土 17:00～24:00(L.O.23:00)
日 15:00～22:00(L.O.21:00)
水曜定休

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